最後に、稲村 哲也氏(愛知県立大学名誉教授、放送大学教授)から、『遊牧、移牧、定牧 ~モンゴル、チベット、ヒマラヤ、アンデスのフィールドから~』と題した発表をいただきました。

話者はペルー・アンデスの標高4000m を越える高原で、リャマとアルパカを飼う牧民の調査を長く続けてきた。ヒマラヤでは、ヤクなどを飼育するネパールのシェルパ民族を始め、ブータンやインドなどでも調査を行なってきた。2大高地を中心に、モンゴルも加え、牧畜を中心に人々の生活を紹介しながら、人と自然の持続的な関係、外部世界との関係等について、略述された。

農耕が不可能な環境-寒冷地! 高地! 乾燥地!-で家畜を飼うことで適応し、持続的な生活を送る人々(牧畜民)について、6地域を取り上げ、「移動」に焦点を当てて比較された。

  1. 遊牧: モンゴル・ゴビ沙漠(乾燥地で標高約1,000m)の例
  2. 遊牧と狩猟: モンゴル北部トゥバ民族(タイガ地域、標高1,800~2,400m)の例
  3. 遊牧: インド・ラダック地方(チャンタン高原、4,600~4,900m)の例
  4. 移牧: ネパール・シェルパ民族、ヤクとゾモの移牧、2,500~4,500m、農牧民の例
  5. 移牧: ブータン・ブムタンの2重(ヤク・ゾモ(4,500~3,000m)&ジャツァム(ミタンと牛のハイブリッド、3,000~1,500m))の移牧の例
  6. 定牧: ペルー・アンデス、ケチュア民族(アレキーパ県)。リャマとアルパカの牧畜(標高4,500m 前後の高原で1年中放牧): 定牧 の例

何しろ40余年に亘る牧畜(遊牧、移牧、定牧)研究のお話である。

是非、配布資料をご覧いただき、参考文献で深耕を図っていただきたい。

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