児玉 香菜子氏による『「国境」からみた中国内モンゴル自治区エゼネ旗の60年』(ヒマラヤ学誌 No.12, 223-231, 2011)を、ヒマラヤ学誌編集委員会(編集責任者;松林公蔵京都大学教授)の承諾を得て、掲載しています。
日本語本文がp223から、英語要約がp231、となっております。
「国境」からみた中国内モンゴル自治区エゼネ旗の60年 児玉 香菜子 モンゴル族は、モンゴル国、中国、ロシア連邦と広く分布する。なかでも最も多い人口を有するのは中国である。中国のなかでも最も多くの人口をもつのが内蒙古自治区(以下、内モンゴル)で、その人口は429 万人(2005 年現在)である。しかし、内モンゴル総人口は2386 万人で、モンゴル族が占める割合はわずか18%にすぎない。圧倒的多数を占めるのが漢族で、8 割以上を占める。次いで、モンゴル族の人口が多いのがモンゴル国で、250 万人(2007 年現在)である。 このように、モンゴル族は大きく中国とモンゴル国という異なる国家に属する。同じ民族でありながら、異なる国に分断されたモンゴル族にとって、国境はビジュアルには見えないものでありながら1)、国境がもつ意味は時代とともにめまぐるしく変化し、人びとの暮らしを大きく翻弄してきた。 中国において、モンゴル国と最も長く国境をもつのが内モンゴルの最西端に位置するエゼネ(額済納、中国語読みではエチナ)旗である(図1)。本稿の目的はモンゴル国と国境を接するエゼネ旗の過去60年を「国境」という視点から再考することである。 (以下、添付ファイルをご参照くださいませ。) |