最後に、松林 公蔵氏(京都大学東南アジア研究所、AACK)から、『高所&フィールド医学-チベット・雲南 -最近の遭難事例の医学的教訓を含めて-』と題した発表をいただきました。
≪以下、講演要旨より≫
高地は、低酸素という人間の生理にとってきわめて過酷な自然条件が存在し、ヒトが高地に住み着くためには低酸素適応が必要であった。生物学的適応とは対照的に、文化的適応は、自分自身の身体的構造の変化を最小限にとどめ、新しい文化をまとうことによって外界に適応してゆく。本講演では、雲南省と青海省高地住民における老化の実態をお話しし、あわせて、中・高年登山における注意事項ならびに最近事例がみられる低体温症についても言及する。