14日に開催しました第21回雲南懇話会は、生憎の天候にも拘わらず、105名の参加を得て盛況裡に終了いたしました。ご参加いただいた皆様のご支援ご協力に感謝します。講師の皆様、誠にありがとうございました。

  1. AACK会員の伊藤 寿男さんは、2009年のレルー谷に続く2011年の探査で、レナック谷とギアブル谷の未踏峰探検を行いました。今回、その未踏峰の概要を紹介いただきました。
  2. 写真家の小林尚礼さんには、ブータン東部のメラック・サクテン地方とインド北東部のアルナーチャル・プラデーシュ州の山岳地帯に残る伝説、言い伝え、祭を紹介いただきました。
  3. 早稲田大学大学院人間科学研究科博士後期課程の橋本 彩(さやか)さんには、ラオスの競漕祭にみられる儀礼の象徴性および近年の変化について報告いただきました。中国の影響が強い場所においては舟の舳先に龍を飾り、イ ンドの影響が強い場所においては舳先にナーガを象る(かたどる)風習がり、いずれも水を司る神とされているため、祭りの目的は稲作に関連した雨乞いや豊 穣祈願であることが多いとのことでした。
  4. 名古屋大学大学院環境学研究科准教授の横山 智(さとし)さんには、ラオスの人々の焼畑と森林利用を通して、森と人との関わりをどのように捉えるべきか考えていきたいとして、ラオスが経験している森と 人間との関係性の変化に、途上国の環境問題の縮図を重ね合わせて、概説いただきました。焼畑を連続性の視点から再考すれば、従来とは異なる価値を見いだせ得る点を、力説されていました。
  5. 京都大学名誉教授の左右田健次さんは、お茶の起源、製法、形態、飲み方、原産地、歴史、文化史、茶の旨味成分テアニンと発見者・酒戸弥二郎さんのこと…など等、教養溢るる、文字通りのあれこれ話を系統立ててお話いただきました。中国近代史の起点となったアヘン戦争(1840~1842年)、アメリカ独立戦争の発端 となったボストン茶会事件(1773年)にも触れられています。

(撮影:長岡正利)

概要

第21回 (2012年4月14日(土)、東京市ヶ谷・JICA研究所-国際会議場)
  演題
発表者
所属
1 隠れたる未踏峰の宝庫
-2011年 インドヒマラヤ・ザンスカール南部の探検-
伊藤 寿男 AACK
2 ヒマラヤの自然信仰と祭り
-ブータンとインド北東部(アルナーチャル・プラデーシュ)から-
小林尚礼 写真家、AACK
3 水の神: 龍・ナーガに捧げる競漕祭と稲作文化
~アジアにおける拡がりとラオスの現状~
橋本 彩(さやか) 早稲田大学大学院人間科学研究科博士後期課程    
4 焼畑再考
-ラオス山地民の森林利用から学ぶもの-
横山 智 名古屋大学大学院環境学研究科
5 お茶
-起源、歴史など、あれこれ話-
左右田 健次 京都大学名誉教授(微生物生化学), AACK

以下、雲南懇話会でご講演いただき、懇話会から「ヒマラヤ学誌」に寄稿した論考を、関連情報として、ご参考まで以下に示します。

#ヒマラヤ学誌とは、 http://www.yunnan-k.jp/yunnan-k/hsm.html

  1. 早稲田大学大学院生の橋本彩さんの論考に関連して、東京大学研究博物館 園江満さんのラオスに関する論考。http://www.yunnan-k.jp/yunnan-k/attachments/article/496/himalayan_study_monographs_no_12_p209-222_sonoe.pdf
  2. 名古屋大学大学院環境学研究科 横山智准教授の「焼畑再考」に関連して、雲南大学民族研究院 尹紹亭教授の論考。
    http://www.yunnan-k.jp/yunnan-k/attachments/article/234/himalayan_study_monographs_no_10_p225_yin.pdf

  3. 京都大学 左右田健次名誉教授の「お茶」-起源、歴史など、あれこれ話ーに関連して、京都大学大学院の佐々木綾子さん(当時、院生)の論考。
    http://www.yunnan-k.jp/yunnan-k/attachments/article/228/himalayan_study_monographs_no_10_p190_sasaki.pdf

メーリングリスト

雲南懇話会メーリングリストにて、今後の講演会のご案内・関連情報を配信しております。こちらに示すいずれかの方法でご連絡いただければと思います。

著作権について

媒体の如何を問わず、本ホームページに掲載している全体または1部を転載或いは複製し、頒布などの目的による利用を希望される時は、事前にご連絡ください。詳しくは、著作権についてをご覧下さい。