2012年12月15日(土)に開催しました第23回雲南懇話会は、師走の気忙しい時期、霧雨模様の天候にも拘わらず、100名のご参加を得て和やかな裡に終了致しました。ご参加いただいた皆様のご支援ご協力に感謝します。

茶話会では、日本酒・ワインなど多数の差し入れをいただきました。ありがとうございました。

ご講演いただいた講師の皆様、誠にありがとうございました。

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(撮影:劉麗梅)

第23回 (2012年12月15日(土)、東京市ヶ谷・JICA研究所-国際会議場
  演題
発表者
所属
1 ラダック、チベット密教の地を訪問して、2012年 -ゴンパと祭り、インドヒマラヤ/ ザンスカールの未踏峰 紹介- 芝田 正樹 AACK
2 インドヒマラヤ、ナンダデビ山群カランカ峰(6931m)北壁初登攀 -2009年第17回ピオレドール授賞、そして今- 天野 和明 ICI石井スポーツ(株)、明治大学炉辺会
3 古箏の調べ  -さえずりが聞こえますか, 波を感じますか-(古箏演奏) 伊藤 志津子 古箏演奏家
4 中国(雲南)の南進策  -中国はGMS (Greater Mekong Subregion) 諸国と協調出来るか- 吉川和夫 日タイ・ビジネスフォーラム
5 ヒマラヤ周域における少数民族による草食家畜の放牧方式  −中国東チベット高原とインド国ジャンムー・カシミール州でのヤク・ヒツジ・ヤギの比較− 長谷川 信美 宮崎大学農学部畜産草地科学科

次回第24回雲南懇話会は、2013年3月30日(土)、東京市ヶ谷のJICA研究所で開催致します。内容が固まり次第、別途ご案内致します。

講演内容の概要を、以下に示します。

  1. 「ラダック、チベット密教の地を訪問して、2012年」と題して、AACKの芝田正樹さんから報告がありました。

    2012年7月、インド北西部にある未知の谷、テマサ谷・ゴンペ谷・ハプタル谷を踏査。標高6000m前後の未踏峰20座を同定。Zanskar の山と花、「小チベット」と称されるラダック、そのチベット密教の寺院と祭り、一妻多夫と13歳の少女の剃髪、チベット難民問題等、紹介された。

    「花」の名前の同定では、AACK並河治会員のご指導をいただいたこと、及び「ヒマラヤを越える子供たち」(小学館)の翻訳者(独文和訳)と親戚関係にあることが披露された。

  2. 「インドヒマラヤ、ナンダデビ山群カランカ峰(6931m)北壁初登攀」について、一村文隆、佐藤祐介の両氏と隊を組んで2008年9月に行ったこと、その登攀が国際ピオレ・ドール賞を受賞したこと等、明治大学炉辺会の天野和明さんから紹介された。天野さんはローツエ日本人無酸素初登頂を含む8000m峰6座登頂の実績を持ち、夏には富士山公認ガイドとしての顔も持つ。

    初冬の?富士山合宿で使用した旧式テントの写真、合宿を終えて下山中の(特に1&2年生の旧式装備を身に纏った)写真を示しながら「明大山岳部の伝統の一端」を紹介、安全登山と冒険の違い、メスナーの「登山は芸術」という言葉の意味合い等、自身の登山観を含めて語られた。

  3. 「古箏の調べ」-さえずりが聞こえますか, 波を感じますか- と題して、伊藤志津子さんの語り、伊藤さん・森本百合さん・内田律子さんによる古箏演奏が行われた。

    中国古典楽器「古筝」は2000年以上も前から弾かれていて、「秦筝」とも呼ばれていた。弦数が時代と共に13(唐),16(清),18,21,25と変化している。現在は21弦が最も普及している。古筝の「曲の特徴」は「地域の特徴」であり、それが「流派」と呼ばれているが、日本の琴の流派とは異なること…等が語られた。

    古筝演奏5曲と各曲の簡潔な解説が為された。

  4. 「中国(雲南)の南進策」-中国はGMS (Greater Mekong Subregion)諸国と協調出来るか-と題して日タイ・ビジネスフォーラムの吉川和夫さんからお話を頂戴した。

    1992年、ベトナム、カンボジャ、ラオス、ミャンマー、タイ国の5ヶ国と雲南省をメンバーとした地域協力プログラム「GMS」が結成された。

    同域内の開発は、南進を目論む中国にとって好都合であり、中国は積極的に協力をしたが、高圧的、独善的、利己的だった。

    中国は雲南省内のメコン本流4箇所で、水力発電所建設を強行し完工した。

    経済制裁が解除されたミャンマーを始め、環境が変わり、各国の中国への対応が変わって来た。中国との関連でGMS諸国の動向につき、例示して説明された。当該諸国に対する欧米、特に日本の協力が、中国に対する抑止力になると指摘された。

  5. 「ヒマラヤ周域における少数民族による草食家畜の放牧方式」 −中国東チベット高原とインド国ジャンムー・カシミール州でのヤク・ヒツジ・ヤギの比較− と題して宮崎大学農学部畜産草地科学科の長谷川信美教授よりお話を頂戴しました。

    ヒマラヤ山脈周域の高山草原では、少数民族による草食家畜の放牧が行われている。中国青海省玉樹蔵族自治州でチベット族によるヤク、海北蔵族自治州で回族によるヤク、インド国ジャンムー・カシミール州でバックラワル族によるヤギ、グッジャル族によるヒツジとウシ、チャンパ族によるヤク・ヤギの放牧方式について、調査を行っている。ヒマラヤ山脈北東部と南西部での家畜種と放牧方式の違い(遊牧・移牧・定置放牧)を植生と野生動物も含めて紹介された。

    青海省玉樹蔵族自治州では2010年4月の大地震で4万頭超のヤクとヒツジが死亡、2012年3月の大雪災害では、8万頭のヤク・ヒツジが餓死したという。

    チベット高原に生息しているクチクロナキウサギが、草地を荒らす害獣として駆除されているという、一見して理不尽な話が紹介された。2011年より、このクチクロナキウサギの草原生態系に及ぼす影響について、調査・研究が始まったといいます。

メーリングリスト

雲南懇話会メーリングリストにて、今後の講演会のご案内・関連情報を配信しております。こちらに示すいずれかの方法でご連絡いただければと思います。

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