4番目に、別所 裕介(駒沢大学総合教育研究部文化学部門 准教授)から、『ネパール・ヒマラヤ地域における中国の開発案件と「仏教の政治」 〜一チベット系民族集団の目線から〜』と題した発表をいただきました。
【添付資料】
プロジェクタ資料ーネパールヒマラヤ地域における中国の開発案件と「仏教の政治」.pdf
席上配布資料ーネパールヒマラヤ地域における中国の開発案件と「仏教の政治」.pdf
講演者は過去20年以上にわたり、中国のチベット地域へ通い、研究を続けている。20世紀末以降、世界中に影響力を拡大してきた中国は、いま大きな社会の転換期にあるが、海を挟んだ東の隣人である日本人の中国理解は断片的な情報により、いつも限定されがちである。こうした状況を打開するには、有史以来、中国の西の隣人であったチベット系の人々の知恵を借りることが有効である。彼らが中国とインドという二大国の狭間で敬虔な仏教徒であり続けたことは、日本人の未来を考える上で示唆に富んでいる。講演では、中国が「アジア仏教の盟主」たることをうたってネパールとの国境地域で進めている開発案件を取り上げ、日本を含むアジア諸地域の「仏教をめぐる政治」の動態を幅広く視野に収めながら、ヒマラヤを越えて南アジアへ出ていこうとする中国の存在感が、ローカルなレベルでどのように受け止められているかについて、在地チベット系民族集団の目線からの検討が行われた。