次に、酒井 美代子(アジア料理研究家、日本タイ料理協会理事、スタジオアロイ主宰)から、『タイ王国の歴史と食文化 ~タイ料理の特徴と地方色~』と題した発表をいただきました。

 講演者は日本でまだタイ料理が知られていなかった1985~1989年、タイ王国に滞在し、タイ料理界の第一人者である国立技術大学のシーサモン助教授に師事。さらに王宮料理をプリンセス シーダから学んだ。アジアで唯一、外国の植民地になることなく、独自の文化と発展を遂げて来たタイ王国は、周辺の国々の影響を受けながら独特の食文化を育ててきた。13世紀初頭、中国雲南省辺りに住んでいたタイ族は南下し、現在のタイ国の地にあったモン族のドラバラディ国、マレー人のシュリービジャヤ国、クメール人のクメール国などと同化しながら、いくつかの小国家を形成していった。それらの小国家がまとまり、1238年、スコータイに最初の王朝ができ、これと併行して北部のチェンマイにはランナータイ王朝ができた。その後、アユタヤ、トンブリー、チャクリーの各王朝を経て、現在のタイ王国が形成された。これらの歴史をたどると、それに伴って培われた食文化の歴史が見えてくる。タイ料理の特徴は食材が豊富なこと。生のハーブを多用し、発酵調味料を使う。また、以下のように料理の地方色も豊かである。①タイ文化圏山岳民族の食事:焼畑の農産物を利用。②北部タイ(チェンマイ):ミャンマーの影響あり。カントーク料理(丸いちゃぶ台に乗せた料理)、カオソイ(カレーラーメン)が有名。③東北タイ(イサーン地方):ラオスやカンボジアの影響あり。ソムタム(青パパイヤのサラダ)、ガイヤーン(タイ風焼き鳥)が有名。④中部タイ:豊かで新鮮な食材が集まるバンコクが中心。カービング等で美しく盛り付けられた王宮料理。⑤南部タイ(ハジャイ):マレーシアの影響あり。シーフードが多い。たくさんの美しい料理の写真を使い、タイ料理の特色が説明された。

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