次に、落合 正治氏(神奈川大学体育会山岳部総監督)から、『七つの大陸の最高峰を訪ねて 〜山岳部復活を目指したドリーム計画〜』と題した発表をいただきました。

 今から20数年前、神奈川大学山岳部の最後となる部員から歴代リーダーへ、「我々が卒業すると部員はゼロ。休部となり、数年後には廃部手続きとなる」との連絡が入った。歴代リーダー数名が集まり協議したが、解決の糸口は見つからず、諦めかけていた。そうした中、この事情を聞きつけた数名のOBから、山岳部復活を支援するため、OB会を再編すべしとの声が上がった。これに応え、同OB会は神奈川大学校友会に同期同好組織として登録し、再出発することになった。
 しかし、山岳部復活への道は遠く不透明であった。最大の難関は、ロートルOBが「どうやって新入部員を確保するか」という点であったが、近隣大学山岳部員とOB会員子女の協力により3名の新入部員を確保することができた。OB会は指針として、新入部員に部活動を通じて楽しさと厳しさを体験してもらうとともに、現役部員とOB会員が大きな目標を共有することが重要と考え、夢実現計画ドリーム21~夢抱き、夢育み、夢実現~として、七大陸の最高峰制覇(いわゆるセブンサミッツ計画)を提唱した。
 10代から70代の隊員で編成される遠征隊を組織し、人材や資金確保など多くの難問を乗り越え、2002年~2009年の7年間で、単独大学としては世界初のセブンサミッツ制覇を成し遂げた。講演では七つの大陸の最高峰が、現役部員とOB会員のチームにより毎年、ひとつづつ登られてゆく経過がスライドで紹介された。
 神奈川大学山岳部は現在、部員30名を数えるが、その内、登山(アルパインスタイル)を指向する部員は7名で、その他はクライミング、トレイルランを指向する部員である。同大学では早い時期から学内にクライミングウォールが設置され、毎年、これを使ったクライミングコンペが、日本山岳会青年部・学生部主導の下、全国から70名近い学生を集め実施されている。 
 部員減に悩む大学山岳部が多い中、なぜ神奈川大学山岳部はこれほど多くの学生を惹き付けることができるのか?という質問に対し、落合監督は、現在の多様化する登山の形態に対応した活動プログラムが用意されていること、学生が登山の魅力に気付き、目覚めるのを支援していることを挙げた。
 落合監督は同山岳部卒業後、アマゾン・オリノコ河踏査隊の隊員となり、同地を長期にわたり調査・探検した。このとき、現地の自然から多くを学び、目覚めたと語ったが、この経験が、同山岳部・OB会の高い目標設定、学生自身の覚醒をうながす指導のあり方に反映されていると感じた。神奈川大学山岳部・OB会は次なるプロジェクト:夢無限~G&G計画~(世界のGreat Summits 10峰、ヒマラヤGiants 14座を登頂する)の実現に向け、活動を続けていくとのことである。

 

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