第27回雲南懇話会は、2013年12月7日(土)、東京市ヶ谷のJICA研究所国際会議場で開催され、123名の参加をいただき、盛会でした。参加された皆さんの、耳を凝らして真摯に話に聞き入る姿が印象的でした。皆様のご支援、ご協力に感謝します。ご講演いただいた講師の皆様、誠にありがとうございました。

今回も又、学生・院生から80歳に近い岳人・企業人・独法&NPO関係者・学識経験者、各界の自由人(OB)まで、5~60年の時空を共有したひと時となりました。お陰様で「123名」の参加者数は、過去最多の記録(117名、第18回雲南懇話会、2011年4月開催)を更新しました!

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今回の茶話会は80名が参加され、講演いただいた松沢哲郎さん(京都大学霊長類研究所教授)の本年度文化功労者顕彰を祝う、常になく酒量の進んだ和やかな集いとなりました。雲南懇話会設立発起人を代表してAACK 松浦祥次郎さんが祝辞を述べられ、松沢さんも参加した「JACカンチェンジュンガ縦走登山隊、1984年」の猛者連(登攀隊員)も、片岡泰彦さんを始め多数駈けつけてくれました。

(撮影: 遠藤 州、小林 尚礼)

第27回

日時;2013年12月7日(土)13時00分~17時30分。茶話会17時30分~18時40分
場所;JICA研究所/国際会議場(東京市ヶ谷)

  演題
発表者
所属
1

シルクロード、悠久の歴史と人との出逢い
  -玄奘三蔵の足跡を中心として-

長澤 法隆 サイクリスト、シルクロード雑学大学主宰
2

沢登りの地平を拓くもの
  -未知への探求、探検的沢登りの勧め-

成瀬 陽一 渓谷探検家
3 モンゴル国西部のカザフ人
  -鮮やかな装飾に囲まれた日常生活-
廣田 千恵子 千葉大学大学院人文社会科学研究科博士前期課程
4 日本人とチベット
  ―河口慧海のチベット旅行を中心として―
奥山 直司 高野山大学文学部
5 比較認知科学からみた文化の進化的起源 松沢 哲郎 国際霊長類学会長、日本学術会議会員、京都大学霊長類研究所、AACK

まず、『シルクロード、悠久の歴史と人との出逢い -玄奘三蔵の足跡を中心として-』 と題して、長澤 法隆様(サイクリスト、シルクロード雑学大学主宰)のご発表をいただきました。

1993年から2012年までの20年をかけて、自転車で西安からローマまで走行し見聞した中で、西安からサマルカンドまで、300枚の画像でオアシス、砂漠、天山山脈、イシククル湖畔、タラス河畔…など等紹介された。玄奘三蔵の足跡(ベデル峠 = Перевал Бедель = Bedel Pass = 別牒里山口/Bedel Dabanなど)や戦後のシベリヤ抑留者の活躍の様子等(キルギス、タシケントなど)、日本人の痕跡を求めた旅で見えた風景を、字幕入りのスライドショーで紹介された。

次に、『沢登りの地平を拓くもの -未知への探求、探検的沢登りの勧め-』と題して、成瀬 陽一氏(渓谷探検家)のご発表をいただきました。

日本の渓谷の素晴らしさを代表するものとして称名川を紹介された。落差320mという日本最大の称名滝、その落口から2km続く称名廊下の大峡谷地帯。日本に最後に残された地図上の空白地帯という。

海外では韓国、台湾はもとより、中国(福建省、雲南省、四川省)、ニューギニア、タスマニア島、カウアイ島、そしてレユニオン島へと沢登りを続けてきた。今、沢登りの地平線がうっすら見えてきたような気がしていると言い、その辺りの様子を、230枚の写真で報告された。世界の渓谷は可能性に満ちていると締めくくられた。

少年のような!輝いた瞳、弾んだ声 (語り口) が印象的でした。

写真館にも掲載しました。

3番目には、『モンゴル国西部のカザフ人 -鮮やかな装飾に囲まれた日常生活-』と題して、廣田 千恵子氏(千葉大学大学院人文社会科学研究科博士前期課程)の発表をいただきました。

モンゴル国最西端にあるバヤン•ウルギー県に居住するカザフ人の日常生活、及び装飾品の利用について、紹介された。ウイと呼ばれる伝統的ユルタの内部は、女性の手芸によって作られた色鮮やかな装飾で溢れているという。

モンゴル国のカザフ人とその生活について、18世紀以降の歴史、言語、生活風景など簡潔に紹介された。調査地域の美しい山や湖・草原、そこに住むカザフの人びとの暮らしぶりが印象に残った。

参考資料; バヤン•ウルギー県全体地図… http://www.ulgii.wordpress.com/

 

4番目には、奥山 直司氏(高野山大学文学部教授)から『日本人とチベット ―河口慧海のチベット旅行を中心として―』と題した発表をいただきました。

黄檗僧 河口慧海の足跡を日本からヒマラヤ・チベットへと辿りながら、日蔵関係の原点ともいうべき彼の探検行に秘められた夢と志について、語られた。

日本人がチベットと関わりを持ちはじめたのは、日本が近代化の道を歩みはじめてからのこと。明治20年代(1887年~)から、日本仏教界には「入蔵熱」(チベット入国熱)が起こり、何人もの青年僧がチベットを目指した。その中で最初にチベットの都ラサに到達したのは黄檗僧河口慧海(1866-1945)であった。

お話は、九品仏浄真寺境内の碑文、宗教家→探検家→学者 というTriangle、堺の鉄砲鍛冶・職人、1900年7月4日チベット国境到達~1901年3月ラサ到着、克明な日記、肥下徳十郎の存在、彼はスパイではない、多くの植物標本を持ち帰った人物、ダージリンの佇まい、チョーマ・ド・ケーレス(ハンガリー人)など等、多岐に亘った。

最後に、松沢 哲郎氏(国際霊長類学会長、日本学術会議会員、京都大学霊長類研究所、AACK)から、『比較認知科学からみた文化の進化的起源』と題した発表をいただきました。

まずは、自身の生い立ち、大学受験・山岳部入部の経緯が語られ、山岳部の栄光と挫折、山岳部が標榜したパイオニア ワーク(スピリッツ)の研究領域での展開へと話が及んだ。次いで、「ヒト科は4属」「チンパンジーは、教えない教育・見習う学習」から始まり、「人間とは何か」について、チンパンジーとの比較からチンパンジーを知り、人間とは何かを深く知る…比較認知科学を概説された。

霊長類は人も含めたサルの仲間であること、チンパンジーはヒト科であることを強調された。

新設間もない京都大学霊長類学・ワイルドライフサイエンス・リーディング大学院のこと、京都大学とブータン王国との関わりに触れ、最後に、2014年2~3月頃に、雲南のキンシコウ(孫悟空のモデル)の調査を開始することが述べられ、自身が梅里に(雲南に)行く…として講演を締めくくられた。

-参考資料-

「人間とは何か」;京都大学第1回品川セミナーより。

アイのホームページ;

京都大学ブータン友好プログラム;

京都大学霊長類学・ワイルドライフサイエンス・リーディング大学院;

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