第29回雲南懇話会は、6月28日(土)に東京市ヶ谷のJICA研究所国際会議場で開催され、76名の参加をいただき終了いたしました。皆様のご支援・ご協力に感謝します。ご講演いただいた講師の皆様、ありがとうございました。

梅雨空でしたが、宮崎市・岐阜県中津川市・静岡市・山梨県都留市・福島市からの参加がありました。遠方からのご参加は、嬉しいですね。宮崎そして筑波の銘酒の差入れもありました。ありがとうございます。

⇒「講演の概要」を読む

(撮影: 長岡 正利)

第29回

日時;2014年6月28日(土)13時00分~17時30分。その後茶話会
場所;JICA研究所国際会議場(東京市ヶ谷)

  演題
発表者
所属
1

私の山旅、天山&アルタイなど
~ハン・テングリ(7010m)、ベルーハ峰(4506m) 他~

坂上 光恵 日本山岳会(JAC千葉)、パミール・中央アジア研究会
2 鉄器文化、石製鋳型を用いた鋳造技術
~四川省俄亜郷における納西族の民俗調査より~
宮原 晋一 奈良県立橿原考古学研究所
3 水・草・家畜からみた遊牧システム
~モンゴル国首都近郊牧畜民の事例から~
児玉 香菜子 千葉大学文学部准教授
4

ミャオ族の歴史と文化の動態
~中国南部山地民の想像力の変容~

鈴木 正崇 慶應義塾大学文学部教授、日本山岳修験学会会長
5 果物のふるさと、西域(伊犁)
~リンゴの起源地での保全活動~
大石 惇 NPO法人西域生態系保全フォーラム理事長、JAC静岡、静岡大学山岳会、静岡大学名誉教授(植物繁殖学)
<添付資料>
Download this file (20140628_29_99_aniya_voice.mp3)安仁屋代表による総括・講評[ ]0 kB

まず、『私の山旅、天山(TIEN SHAN)&アルタイなど -ハン・テングリ(7,010m)、ベル-ハ峰(4,506m)ほか-』 と題して、坂上 光恵様(日本山岳会(海外委員会)、パミール・中央アジア研究会)のご発表をいただきました。

「1987年に初めて南テンシャンのタルガル山に登り、その後、テンシャンの山々に行く機会が増え、盟主ハン・テングリには南面、北面両方から登る機会があった。また、アルタイ山脈の最高峰ベル-ハは、ロシア、モンゴル、カザフスタンの国境にあり、入域に時間を要し日本人が余り入っていない山域である。」として、ハン・テングリ、ベルーハ峰登山の様子を紹介された。休暇を可能な限り海外登山に充てていると言い、その海外の山歴は圧巻である。

最後に、ムスターグ アタ、アコンカグア登山の様子が紹介され、アバチャ山に代表される山スキーの楽しさに触れた。

次に、『鉄器文化、石製鋳型を用いた鋳造技術 -四川省俄亜郷における納西族の民俗調査より-』と題して、宮原 晋一氏(奈良県立橿原考古学研究所)のご発表をいただきました。

四川省俄亜郷は納西族を主体とする行政区画である。交通事情の悪さが幸いして紅衛兵が侵入しておらず、文化大革命の影響が少なかったため、東巴文化が良好に残された地とされる。

石製の鋳型を用いた鋳造技術が残っているとの情報に基づき、2005年と2006年に雲南省・麗江から道路事情の劣悪な現地に入り調査を行なった。確認できた伝統的鋳造技術と、見聞できた納西族の生活を紹介された。

3番目には、『水・草・家畜からみた遊牧システム -モンゴル国首都近郊牧畜民の事例から-』と題して、児玉 香菜子氏(千葉大学文学部准教授)の発表をいただきました。

モンゴル高原の自然環境の特徴は乾燥と寒冷にあるとして、ウランバートル・フフホト・東京を比較。社会環境として、面積・人口・民族など等、モンゴル国と中国内モンゴル自治区を比較、略述された。

ウランバートルから約150kmの草原に居住する遊牧民一家の生活風景を、司馬遷「史記」(匈奴列伝)を引用しながら 水・草・家畜の利用など、略述された。年収は10万円(自己申告)。パオの内部にテレビ(多チャンネル、太陽光利用)・冷凍庫、外にニッサン車があった。バイクが普及していると言う。家畜は羊・ヤギ・牛・馬・ラクダを言い、豚・鶏は家畜で無いという。

今日的日常的な遊牧民の生活文化の一端が紹介された。

4番目には、鈴木 正崇氏(慶應義塾大学文学部教授、日本山岳修験学会会長)から『ミャオ族の歴史と文化の動態 ―中国南部山地民の想像力の変容―』と題した発表をいただきました。

ミャオ族(Miao 苗族)の生活実態の変容と継続について概説された。

ミャオ族は中国南部の貴州省・雲南省・湖南省・広西壮族自治区などの山岳地帯の居住民で、同系統の人々はタイ・ベトナム・ラオスにも住む。山地の斜面を利用して焼畑耕作を営む移動性の高い人々と、河川盆地に定住し棚田を耕して稲作を営む人々から構成されていた。

「30年間に亘るミャオ族との付き合いを通して文化の変容、再創造、再構築を探求する。」として、「生活実態」「歴史の中の苗族」「近代における苗族の生成」「苗族の変動」「神話の再構築と現代」という各項目について、詳述。

1例を示すと、映画「グラン・トリノ」に描かれた米国に住むモンの生活の現状、中国古代から現代に至る歴史文献上に記載されている「苗」と1949年以降の「苗」、1949年以降の「創られた民族」と「自律的運動の開始」、漢族主体に提唱された「中華民族の多元一体」論と新たな苗族の「対抗言説」構築に、話は及んだ。「対抗言説」とは、「漢族の始祖とされる黄帝」に対抗させようとする言説である。古代の神話は、新たな装いをもって再構築されようとしている。…と結んでいる。

最後に、大石 惇氏(NPO法人 西域生態系保全フォーラム理事長、静岡大学山岳部紫岳会、静岡大学名誉教授)から、『果物のふるさと 西域(伊犁) -リンゴの起源地での保全活動-』と題した発表をいただきました。

天山北麓の伊犂州は、豊富な野生植物の生息地であり、特にリンゴの起源地とされている。しかし、新疆ウイグル自治区は地下資源の開発と工業化が進み、それに伴う人口の急増、食糧需要の増大から、農業開発と過放牧が急激に進んで、残っていた野生リンゴの群落も荒廃の一途をたどっていた。

日中共同で植物の野生種を保存し、その特性を調査し活用して行くため、新源県に100haの「天山有用植物資源圃」を、1992年から8年がかりで日中共同で建設してきた。今回は、1987年から現在までの野生果樹の保全の様子を紹介された。

リンゴはアジア西部からヨーロッパ南東部の原産とされる。カザフ語(チュルク語派)でアルマはリンゴを指し、アルマトイとは「リンゴの親父」を意味すると言います。次のCAEPF通信第3号をご覧ください。
http://www4.tokai.or.jp/saiiki/report/caepf003.pdf

更に詳しくは、次のURLをご覧ください。
http://e-hutte.net/ito/iri2006-2007.pdf

 

Additional information