4番目には、鈴木 正崇氏(慶應義塾大学文学部教授、日本山岳修験学会会長)から『ミャオ族の歴史と文化の動態 ―中国南部山地民の想像力の変容―』と題した発表をいただきました。

ミャオ族(Miao 苗族)の生活実態の変容と継続について概説された。

ミャオ族は中国南部の貴州省・雲南省・湖南省・広西壮族自治区などの山岳地帯の居住民で、同系統の人々はタイ・ベトナム・ラオスにも住む。山地の斜面を利用して焼畑耕作を営む移動性の高い人々と、河川盆地に定住し棚田を耕して稲作を営む人々から構成されていた。

「30年間に亘るミャオ族との付き合いを通して文化の変容、再創造、再構築を探求する。」として、「生活実態」「歴史の中の苗族」「近代における苗族の生成」「苗族の変動」「神話の再構築と現代」という各項目について、詳述。

1例を示すと、映画「グラン・トリノ」に描かれた米国に住むモンの生活の現状、中国古代から現代に至る歴史文献上に記載されている「苗」と1949年以降の「苗」、1949年以降の「創られた民族」と「自律的運動の開始」、漢族主体に提唱された「中華民族の多元一体」論と新たな苗族の「対抗言説」構築に、話は及んだ。「対抗言説」とは、「漢族の始祖とされる黄帝」に対抗させようとする言説である。古代の神話は、新たな装いをもって再構築されようとしている。…と結んでいる。

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