第31回雲南懇話会は、2014年12月20日(土)、東京市ヶ谷のJICA研究所で開催されました。

 この日は、雲南懇話会発足以来、満10年となる節目の1日でした。お蔭さまで、師走にも拘わらず120名の参加をいただき盛会でした。皆様のご支援・ご協力に感謝します。

 講師の皆様、誠にありがとうございました。

 宮崎大学の長谷川信美先生、極地研の山岸久雄様より祝いのお酒を頂戴しました。お名前を把握できなかった方(方々?)からの差入れもありました。ありがとうございます。

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(撮影: 長岡 正利)

第31回

日時;2014年12月20日(土)13時00分~17時30分。茶話会;17時30分~18時40分
場所;JICA研究所(旧国際協力総合研修所)国際会議場(東京市ヶ谷)

  演題
発表者
所属
1

雲南懇話会、10年の歩み
~懇話会の今、これから~

前田 栄三

AACK
2 ネパール、ポカラの国際山岳博物館と私のヒマラヤ登山
~JICAシニアボランティア活動とその後のネパール三昧~
竹花 晃 日本山岳会海外委員, 東京都山岳連盟海外委員
3 キルギス自転車旅行、GPSとNASAの3次元地形データ(SRTM)の 活用
~キルギス見聞録、SRTMの活用事例(梅里雪山巡礼路等の等高線図・高低図作成 )~
前田 種雄 サイクリスト, シルクロード雑学大学(歴史探検隊)
4 ヒマラヤ・チベット高所住民の健康
~低酸素適応と生活変化の相互作用~
奥宮 清人 京都大学東南アジア研究所連携准教授, 総合地球環境学研究所客員准教授
 5

タイ・ビルマ漆器と中国虫糞茶
~ビルマウルシの生産とタイ北部のビルマウルシ林を調べる。 中国南部の虫糞茶とは何か?~

渡辺 弘之 京都大学名誉教授(森林科学専攻)
<添付資料>
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まず、『雲南懇話会、10年の歩み ~懇話会の今、これから~』 を、前田 栄三 氏(雲南懇話会代表幹事、AACK)からご発表をいただきました。

雲南懇話会は2014年12月に満10周年を迎えた。10年間143件に及ぶ講演、Field work(10回)、Study tour(3回)について、概観した。諸活動を記録・公開していること、雲南懇ML及びJICA-PARTNERを活用した広報について、強調した。
今後の有り様について、これまでの路線を踏襲しつつ中央アジアを含む地域の「拡大」とタイ文化圏を中心に「深耕」を図ること、地域に特化した活動を志向する…とした。

次に、『ネパール、ポカラの国際山岳博物館と私のヒマラヤ登山 ~JICAシニアボランティア活動とその後のネパール三昧~』と題して、竹花 晃 氏(日本山岳会海外委員、東京都山岳連盟海外委員)からご発表をいただきました。

2004年2月に正式オープンしたポカラの国際山岳博物館の概況を紹介した。JICA海外シニアボランティアとしての山岳博物館の仕事、自身のヒマラヤ登山やトレッキングの内容を紹介。ネパールヒマラヤの新規に解禁された峰々、登山料金改訂の内容、本年10月に発生した遭難事故についても紹介された。話は多岐に亘ったが、明快な語り口だった。

次に、『キルギス自転車旅行、GPSとNASAの3次元地形データ(SRTM)の 活用 ~キルギス見聞録、SRTMの活用事例(梅里雪山巡礼路等の等高線図・高低図作成)~』と題して、前田 種雄氏(サイクリスト、シルクロード雑学大学(歴史探検隊))のご発表をいただきました。

定年後に自転車でキルギスを6回旅行。Kyrgyzの美しい雪山・草原・湖を紹介された。是非、Kyrgyzファンになって頂きたい…と熱弁をふるわれた。

良い地図がないこの地域を安全に旅するにはGPSの活用が第一…として、デジタル地図は無料のOpenStreetMapを、地形データはNASAの3次元地形データ(SRTM)を用い、地図ソフトKashmirで、等高線図、高低図を作成した。世界の殆どの地域が対象になり自宅のPCで作成できる…として、KyrgyzのBedel峠への道、梅里雪山の巡礼路等の例を紹介された。

参考URL http://kyrgyz2009.sakura.ne.jp/ngps_05_basecamp_01_down_install/ngps_05_flow_sagyuo.html

4番目には、『ヒマラヤ・チベット高所住民の健康 ~低酸素適応と生活変化の相互作用~』と題して、奥宮 清人氏(京都大学東南アジア研究所連携准教授、総合地球環境学研究所客員准教授、AACK)の発表をいただきました。

チベット人は、ヘモグロビンの過剰生産を抑制し血液がドロドロになることを防ぐ方法で低酸素適応した。EPAS1遺伝子に特異な変異があり、それは、ネアンデルタール人と同時代に生きていたデニソワ人から受け継いだという証拠が最近発見された。

我々の調査より、チベット人は高血圧や糖尿病に脆弱であることが判明し、若い時には有利であった低酸素適応方法が、高齢になると生活習慣病には不利となるトレードオフが背景にあるらしい…として、概要を説明された。

最後に、渡辺 弘之氏(京都大学名誉教授森林科学専攻)から、『タイ・ビルマ漆器と中国虫糞茶 ~ビルマウルシの生産とタイ北部のビルマウルシ林を調べる。 中国南部の虫糞茶とは何か?~』と題した発表をいただきました。

タイ・ビルマ漆器は日本のウルシとは別種のビルマウルシからの漆液を使う。漆器は多様なかたちだが、これはタケを編んだものの上に漆を塗った籃胎漆器である。タイ北部ではビルマウルシは標高の高いメルクシマツ林やフタバガキ樹木と混交していた。漆掻きの傷はカレン族とタイヤイ族でちがった。日本に「うるしの日」があり、11月13日であることが語られた。

中国に虫糞茶というのがある。どんな虫の糞か、チャの葉を食べさせるのだろうかと興味を持って調べたら、虫は化香夜蛾と呼ばれるソトウスグロアツバ、そして与える樹木はチャでなく化香樹と呼ばれるノグルミであった。さてその味は? ご自身が試飲したところ「とても乙な味とも言えなかった」「カビ臭い」という。

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