最後に、髙橋 昭雄(東京大学 東洋文化研究所 教授)から、『ミャンマーの体制転換と私の農村研究の30年』と題した発表をいただきました。

 アウンサンスーチー率いる国民民主連盟(NLD)が政権を握り、急速に民主化が進んだことによって、ミャンマーは俄かに世界中の注目を集めている。しかし、その社会経済の実態、特に人口の7割が居住する農村部の研究史は極めて浅い。そのような中で、演者は世界中でただ一人、1986年の社会主義、軍政期、そして民主制への移行期と、30年の長期にわたり、ミャンマー農村の深部に入り込んで社会経済データを収集し、調査研究を続けてこられた。講演の冒頭、1回あたり100分の講義を30回行うに等しい内容であると言われ、ここでは、画像を示しながら、体制転換とミャンマー農村社会経済構造の変容の現代史を概観された。

ミャンマーの農業の3類型が示された。ミャンマーの農業政策の根幹として、A.農地国有制度(農地国有化法+小作法、農民の権利保護法)、B.供出制度、 C.計画栽培制度 について概説された。この3法を農村で施行するための橋頭保が小作人登録帳(高収量品種の導入や乾期水稲作もこの制度によって導入された)。 2012年農地法制定により、農地三法は廃止になった。国土の土地利用、作付純面積に対する各地目の構成比、主要な農作物作付面積構成比等、統計数値を示され、農村の変化の動態、進むDe-agrarianization に言及された。
 
 先生には以下の著作があります。
髙橋昭雄著『ミャンマーの国と民―日緬比較村落社会論の試み―』2012 明石書店.

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