次に、『日本のライチョウを取り巻く現状と課題 ~気候変動と  ライチョウの生息環境~』と題して、堀田 昌伸氏(長野県環境保全研究所 主任研究員(鳥類生態担当))のご発表をいただきました。

日本のライチョウは氷河期の遺存種として本州中部山岳の高山帯にのみ生息する、世界最南端の集団である。現在、個体数が減少傾向にあり絶滅が危惧されている。環境省では保護増殖事業計画を策定し,生息域内及び生息域外で保護の取組を進めている。その現状、及び今後問題となる地球温暖化とその影響予測について話された。

ニホンライチョウは、中央アルプス、白山、八ヶ岳では、絶滅した。北ア 爺ケ岳・岩小屋沢岳主稜線上で赤外線センサーカメラを用いた高山帯のほ乳類相調査が為され(2007年、2011年~)、2013年~2016年に確認されたほ乳類が報告された。撮影枚数はニホンザルが圧倒的に多く、次いでキツネ、ニホンノウサギ、テン…となっている。ニホンジカの侵入が4年連続(2013年~2016年)で確認され、イノシシの侵入も北ア北部で初めて確認されている(2015年~2016年)。

高山帯の生物多様性の危機として、A.踏みつけや開発による高山植生の荒廃(第1の危機)B. ニホンジカの採食圧増加による植生変化や生態系への影響(第2の危機) C. ゴミやペットの持ち込みにともなう汚染(第3の危機)、そしてD. 気候変動によるライチョウ・高山植物等の生息適域の 縮小(第4の危機)ニホンライチョウの生息環境は、高山植生に強く依存している。保護増殖事業の取り組み、生息域変化の予測、そして演者らが目指していることに言及された。

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